フリーランスとして独立する際、最初の壁のひとつが「契約書」の作成です。「なんとなく口約束で進めてしまった」「後からトラブルになった」という経験をするフリーランサーは少なくありません。本記事では、フリーランスが自分を守るために知っておくべき契約書作成のポイントと、よくあるトラブルを防ぐための具体的な記載事項を解説します。
なぜフリーランスに契約書が必要なのか
フリーランスと発注者のトラブルで最も多いのは、報酬未払い、追加作業の無償要求、成果物の権利をめぐる争いです。これらのトラブルは「最初から明確な契約書があれば防げた」ケースがほとんどです。2021年にフリーランス保護法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が成立し、一定規模以上の企業がフリーランスに業務委託する際に書面交付が義務化されるなど、フリーランスを取り巻く法的環境も整備が進んでいます。しかし、小規模の取引や個人間の取引ではまだ書面なしで進むケースも多く、フリーランス自身が積極的に契約書を作成・提示する姿勢が重要です。
契約書に必ず記載すべき基本事項
業務内容・成果物の詳細な定義
契約書で最も重要なのは「何をどこまで行うか」の明確な定義です。「Webサイトを制作する」ではなく「〇〇ページ構成のコーポレートサイトを制作する(詳細はSOW(作業範囲記述書)に記載)」と具体的に記述しましょう。業務範囲(スコープ)が曖昧だと、クライアントから「ここも対応してください」と無限に追加作業を要求されるリスクがあります。業務範囲外の作業については別途見積もりが必要であることも明記しておきましょう。
報酬・支払い条件の詳細
報酬については金額だけでなく、支払い条件を詳細に記載することが重要です。固定報酬か時間単価かの区別、支払い時期(納品から〇日以内、毎月末日締め翌月末払いなど)、振込手数料の負担者(一般的にはクライアント負担が適切)を明記します。また、支払いが遅延した場合の遅延損害金(年利〇%など)を設定しておくと、支払い遅延の抑止になります。前払い(着手金)の設定も、資金繰りリスクの軽減と案件キャンセル時の保護に有効です。全体報酬の30〜50%を着手金として先払いしてもらう慣行を設けているフリーランサーも多くいます。
納期・スケジュール
納期は「〇年〇月〇日」と明確に記載します。また、クライアントからの資料提供や確認作業が遅れた場合は、それに応じて納期が延長されることも明記しておきましょう。「クライアントの確認期間が遅延した場合、その分だけ納期を延長する」という条項は、フリーランサーが不当に責められることを防ぎます。修正・改訂の回数制限(例:修正は2回まで無料、それ以降は別途費用)も記載することで、無限修正要求を防げます。